プロ野球ニュース 担当チームプロ野球ニュース座談会 Vol.3

Introduction
フジテレビONEで放送中の「プロ野球ニュース」に関わってきたスタッフ7名が集結。Vol.3では自身の「ときめいた瞬間」と「就活生の皆さんへのメッセ―ジ」を聞きました。※選手名については一部敬称を略させていただきます。

プロ野球ニュース
1976年にフジテレビ地上波で放送開始。2001年からCS『フジテレビONE』にフィールドを移し、プロ野球専門ニュース番組として現在までプロ野球の試合がある日は毎日生放送。(オフシーズンは毎週月曜日に放送予定)

取締役
黒木さん

撮影取材部
山口さん

編集制作部
伊藤さん

制作1部
福山さん

制作2部
武田さん

制作2部
浅羽さん

制作2部
境澤さん
Session - 01
ときめきを感じた瞬間

Session - 02

伊藤さん
俺の場合は「ときめき」とはちょっと違うんだけど、フジテレビの中継で近鉄のブライアントが西武の渡辺久信からホームランを打ったのね。「カキーン」って打って、ブライアントの顔、その後に久信の横顔が、バーンって映し出されて、久信の息遣いが聞こえてくるような映像がそこにあった。今まで観た野球中継でどのシーンが一番かって言われると一番そのシーンが素晴らしかった。

黒木さん
「10.19」(1988年)の翌年の「10.12」(1989年)だね。

福山さん
よく覚えてるなぁ。

黒木さん
あの中継は僕が入って1年目だった。

伊藤さん
その映像のサイズ感というか。そこが「よく撮影できたな」って。

福山さん
息遣いが聞こえる映像ってすごいな。

伊藤さん
俺は基本的に生中継のスイッチングよりも、プロ野球ニュースの編集は勝たなきゃいけないと思ってる。なぜならば…、ときめきの話じゃなくなってるけど。なぜならば、後出しできるから。正直言って、カキーンってホームランを打って、ガッツポーズと、うなだれるのって同じ瞬間かもしれないじゃん。それをプロ野球ニュースはあとから作れるから、ちょっとズラすことができる。だから別のカメラのいいとこ取りができるってこと。これが編集の良いところっていうか。これが「ウソなのか、そうじゃないのか」って言ったら分からないんだけど。

福山さん
いや、ウソじゃないでしょ。

伊藤さん
だから俺はそういうところが編集の良さだと思ってる。だから「ときめき」とはちょっと違うけど、俺が刺激を受けたのは、ブライアントに打たれた渡辺久信の横顔。

黒木さん
昔は野球中継が終わると、帰ってきてからスタッフで反省会をやるわけ、録画している中継を見ながら。でもプロ野球ニュースが始まると必ず止めて、みんなで観たわけ。要するに自分の撮った映像を使ってくれてるかとか、差し替えられちゃってるかを話のネタにしながら。

山口さん
俺は「ときめき」がいっぱいありすぎて選べないけど、中日と巨人が優勝をかけてやったシーズン最終戦は今でも鮮明に残ってる。(1994.10.8)

福山さん
現場に行ったんですか?

山口さん
神宮で優勝が決まらなくて、「ああ名古屋に行っちゃうんだな」って自分がナゴヤ球場に行くと思ってなかった時に、「明日行け」って言われて。ナゴヤ球場なんて一回も行ったことないよって思いながら。

伊藤さん
導線も分からない。

黒木さん
えっ、あそこにいたの?

山口さん
いましたよ。カメラ席も分からないし、本当にすごい試合。みんなが1球1球、本当にこの試合で決まるって1回の表から3塁側に。

黒木さん
それは、すごいね。

山口さん
神宮の前の東京ドームからずっとでしたから。最終戦に持ち越しになって「ああ、名古屋に行っちゃった。いいところ持っていかれたな」って思いながら、黙って球場から出ていく選手たちをずっと撮って。そしたら前日になって「明日ナゴヤ球場へ行け」っていきなり言われて。

福山さん
新幹線での移動とか撮ってたんですか?

山口さん
どうだったかな。球場入りは撮ってたんだけど。

伊藤さん
移動の取材はニュース(報道局)が撮ってたんじゃないかな。

黒木さん
そうだね。東京ドームの試合から1日空いたから、前の日のプロ野球ニュースで「明日はどっちが勝つんだ」みたいなことはやってた。

福山さん
めっちゃお客さん入ったんですよね?マンションの上にもいたり、今じゃ絶対怒られますけど。

境澤さん
確かに。

黒木さん
俺はその試合で中継車に乗ってたから、間接的じゃん。それを生でその場にいるんだから。

山口さん
本当に1球目から、こんなに前のめりにやってるプロ野球選手たちがいるんだ!って。

一同
ははははは!

伊藤さん
真剣さが伝わってきた?

山口さん
途中のプレーでも落合が守備で飛んだりね。そんなこと今まで観たことない。

福山さん
立浪さんもヘッドスライディングして脱臼とかしてましたね。

山口さん
あとカメラ席がベンチの上なんですよ。横じゃなくて、だからカット気味のファウルボールがビュンビュン飛んできた。

一同
ははははは!

福山さん
それはときめくなぁ。その日のプロ野球ニュースは、名古屋から放送したんですか?

黒木さん
名古屋(東海テレビ)でやってた。

伊藤さん
当時のプロ野球ニュースって基本的に、日本シリーズとかが系列局の試合だったら、行くのよ。みんなで。ディレクターも編集もカメラも行って、例えば福岡だったら、序盤のロールはTNC(テレビ西日本)のディレクターと俺とか。普段やってない人と組んで作っていくのが、ちょっと楽しいっていうか。

黒木さん
当時の地方局の人たちはカメラやる人が編集もやるとか、うちみたいに腕のいい編集マンってそりゃいないわけよ。

福山さん
CSになってからも昔のプロ野球ニュースって地方でやる時は、伊藤さんとかが球場に来て、最初の映像素材を持ち帰るとかやってましたよね。

伊藤さん
お金もなくなっちゃったのもあるし、映像がもう東京に来てるからね。

福山さん
でもやっぱり地方局の人たちは、東京からすごい人たちが来るみたいな感じでした。

伊藤さん
だって地方に行った時に、後ろで5人ぐらいが編集を観てるの。

浅羽さん
やりづらい(笑)

黒木さん
だって、そんな機会ないからね。

伊藤さん
ただ、すごく追い込んでて、「やばい」「やばい」ってなった時に、編集の機械が古すぎて何回ボタンを押しても変な音を立てて進まない、「まじかよ」って思いがら何とかやってて、イン点を押して「よしっ!」って、RECボタンを押したら、ボタンが『びょーん』って飛んで行っちゃって。「ああーRECボタン、RECボタン」ってなったこともあったな。

一同
はははは~!

福山さん
よく放送したなぁ。

武田さん
ときめきますね。

Session - 03
就活生の皆さんへ

山口さん
将来的に、今回みたいないろんな話ができるようになるよってことは伝えたい。これから就職する人はこうやって楽しく仕事して欲しいな。

福山さん
プロ野球ニュースを基準に考えると歴史があるけど、黒木さんや、伊藤さん、山口さんみたいな地上波からやってきた人とかいろいろな人たちが紡いできてるから、新しく入ってきても、それを継承しながら番組がうまくできるよってことかな。それに解説の人たちとかついこの前まで現役だった人が近くに来て、いろんなプロ野球の話題を知れる。プロ野球ニュース以外でも、スポーツに入ればサッカーやバレーボールだったり、色んなジャンルのスポーツに携われるよというのが一番のメリットかなと。

武田さん
カメラマンがいて、編集マンがいて、ディレクターがいて、解説者とアナウンサーもいるってテレビだからこそ。プロフェッショナルな人達とみんなで番組を作っていく中に、楽しいことや可能性が色々詰まってるのかなと。それに何よりも好きなことを、仕事にできるのは大きいと思います。

境澤さん
僕の場合はプロ野球ニュースをやりたいって入ってきて、今すごい経験をさせてもらっている。やりたいことは全員あると思うんですけど、僕は「自分がこれをしたい」ってことを大事にしてます。

伊藤さん
境澤はプロ野球ニュースやりたいって言って何年かやったけど、今は「F1担当」じゃない?この状況についてはどう思ってる?

黒木さん
まぁ、そういう状況もあるからね。

境澤さん
1年前くらいからモータースポーツの番組も担当してますけど、本当に何も知らないところからのスタートでした。でも知らない競技でも自分からいろんな人に聞いたり、勉強して知れば知るうちに、「自分がやりたい」に変わってきました。だから、自分が置かれた環境で「やりたいこと」を探すのが大事なのかなと思います。面白さを自分の中に見出して、やりがいを作り上げて、それをエネルギーにしてやってます。

伊藤さん
ずっとプロ野球ニュースだけをやっているよりも、戻ってきた時にさらに引き出しが増えるかもね。

山口さん
俺も車とか好きだから「F1」とか行かせてもらって、アイルトン・セナに会えたり、F1の番組があったから、フェラーリを運転するジャン・アレジの横に乗って、鈴鹿サーキット1周するのを撮ったりね。野球選手じゃないけど、一流選手たちを見てるのは面白いね。でもシーズンが始まって野球に戻った時に「やっぱり野球はいいな」って思うんだよね。昔はアナログで今はデジタルになって、「放送するもの・撮影するもの・編集するもの」全て変わってきてるけど、そういう気持ちの部分は変わらないものだからさ。そういうモチベーションは持っていて欲しいよね。

境澤さん
そうですね。

伊藤さん
じゃあ境澤さんは「一生F1」ってことで(笑)。

一同
はははははは!

浅羽さん
fmtはスポーツで色んな経験ができるし、普段は入れないところに入れたりとか見られたりとか、そういうすごく特別な体験ができるよってことは言いたいかな。井端さんに会えましたとか、カメラを担げば神宮球場や東京ドームに入って、目の前で映像を撮りながらプレーが観れますよとかね。

黒木さん
プロ野球ニュースに関して言えば、ここまで続けているなら、プロ野球がある以上は辞める必然性がないよね。だから、本当にみんなよく踏ん張ってここまでやってきてくれたなって思います。

Other Crosstalk
武田さん
楽しめるってことで言ったら、50分~60分の放送枠をプロ野球だけに使えるので、欲張れる番組だなって思ってやってきた。情報がたくさんある中でココだけでしか見られないものって何かなって目線で出来るのが面白い。ちょっと例えが昔話だけど森友哉が西武にいた時に「全打席三振」なんだけど、全打席フルスイングがすごすぎて、絶対にコレを見せようって流した。それを編集マンだったり、解説者やアナウンサーが一緒に面白がってやってくれると、ものすごく良いものができるって感じ。
福山さん
自分は佐々木朗希のパーフェクト(完全試合)とか、球場には行ってないけど、みんなで観て共感して、「すげぇ!コレどうやって番組にする?」みたいな。そういう時にときめきを感じるかな。大逆転優勝が起きたりとかね。
黒木さん
「ときめいた選手」で言ったら、清原だね。まぁ見ていてこんなに画になる選手がいるのかって、ここぞって時にも当然打ってたし。
福山さん
西武が巨人に勝って日本一になった時に泣いてましたよね。(1987年)
黒木さん
意外と喜怒哀楽もあるし、キャンプとかでも山口さんとか現場に行った人は、分かると思うけど、茶目っ気もあるしね。キャンプの宿舎で、一人で素振りしてるところとかを撮らせてもらいに行ったりとか、やっぱり面白かったね。
境澤さん
僕は中日ファンで井端さんが一番好きで、少年心に井端さんの守備が刺さったというか。ときめきを感じました。だからプロ野球ニュースの解説者になった時に実際お会いして、お話できたっていうのは人生一番のときめきでしたね。
浅羽さん
そこは僕も、スポーツ局でバイトを始めた時、こんな人たちに会えるんだっていうのはタレントさんじゃなくて、元野球選手の解説者に会えるのが嬉しかったですね。
黒木さん
でも解説の人たちって現役の時は怖そうだけどね。斎藤明夫さんとかすげぇ怖そうな人だなって思ってたけど、解説者になった瞬間に全然いいおっちゃんというかね。
福山さん
現役時代はバリ怖かったんじゃないですか?
伊藤さん
谷沢さんとかも怖かったな。
黒木さん
でもそういう人たちが解説になると、すごく丁寧に教えてくれたりさ。
福山さん
解説者に関しては他には負けない。
黒木さん
すごくありがたいのは、昔はプロ野球ニュースに来た解説者が、現場に戻るってあんまりなかったけどさ。仁志さんや松中さんだったり現場に呼ばれてね。井端さんもそうだけど。
福山さん
プロ野球ニュースって6つのモニターを並べて、6試合を同時に観てるじゃない?井端さん、いまでもあの環境で試合を観たいんだって。今のジャパンの監督が。
黒木さん
いいじゃん。
福山さん
それぐらいプロ野球ニュースの環境がすごくいい。
浅羽さん
今年も井端さんから年賀状届きました。それは、ちょっと嬉しかったです。
黒木さん
それは嬉しいね。やっぱり、この解説陣はプロ野球ニュースの財産だもん。それと共にアナウンサーもね。さっきも言ってたように原稿もないんだからね。今思ったけど、歴代アナウンサーの人たちにも話を聞いたら面白そうだよね。
福山さん
伊藤さんもね、この試合はこのアナウンサーなんだって確認してから編集してますよね。
伊藤さん
解説とアナウンサーのコンビね。そこはチェックしておかないと。
福山さん
間(ま)とか、そこでボリューム感が違ってきますからね。