社員インタビュー
2025.02.14
想像を現実に変える仕事


Profile
プロフィール
技術統括部 技術統括
藤田勝巳
1994年入社。テレビ業界で31年のキャリアを持つベテランテクニカルディレクター。音声としてキャリアをスタートし、テクニカルディレクターの道へ。現在は、テレビ番組だけでなく、配信やライブなど幅広い分野で活躍。趣味は料理作り、美味しいものを食べたり美味しいお酒を飲んでリフレッシュすること。
今までのキャリア
音声からテクニカルディレクターへ
もともと音楽に興味があって、ライブのPAなどの仕事をかじった時期もありました。ただ、仕事として向き合うのはちょっと違うなと感じたため、音声関連の仕事を求めてテレビ業界に入りました。最初の頃は、スタジオの番組音声をレギュラーでやっていたんですが、2年目くらいにドラマや映画の仕事もやり始めた時期があって。ドラマは撮影期間が長いので、レギュラーの番組からは離れなければいけないため、「次に戻ってくる時には自分の居場所はないんじゃないか」と不安を感じることもありました。
そんななかで「自分を活かすには、この次はどうすればいいか?」と考えた時に、社内で一番手薄だったロケ業務に於ける音声をやろうと思ったんです。当時のロケ業務は外部のプロダクションの方に頼り切っていたのですが、私は技術会社として社員が責任を持って仕切るべきだと強く感じました。当時はまだ20代でしたが、そこを担当するようになったのがテクニカルディレクターとしての出発点ですね。
テクニカルディレクターは、専門技術や機材など多岐にわたる知識が必要とされる仕事です。現場でしか学べないこともたくさんあり、専門でやっている方に聞いたり、実際に現場で機材を触らせてもらったりしていました。幅広い知識を身につけられるよう、実践のなかで学んでいましたね。
そのようにして20代後半は、自分の専門職である音声とテクニカルディレクターを両立していました。テクニカルディレクターといえば、昔はカメラマンやスイッチャーなどのカメラ寄りの人間が担うのが一般的で、音声の人が担当することはあまりなかったので、最初の頃は非常に難しかったですね。

仕事内容について
アイデアを、現実にする
テクニカルディレクターは、端的に言えば制作や演出家のイメージを具体化するために、予算の中で何をどのようにして作るかを整理する仕事です。現場ではスタッフとコミュニケーションをとりながら、「交通整理」のような役割を担います。
実際には企画段階から参加し、演出家の頭の中にあるアイデアをどのように具現化できるのかを模索します。彼らの意図を汲み取って、「こんなこともできる」「こんなこともやってみない?」とチャレンジも含めて提案し、具体的にどうするのかを決めていきます。
今までで特にチャレンジングだったのは、真冬の雪山での屋外ライブです。「他の誰もがやらないことをやりましょう」ということで、クライアントからいただいたお題でした。長く一緒にお仕事をしていたアーティストさんと、仲間としてやってきた舞台チームと一緒に、雪山という難題と起きうるトラブルをどう乗り越えればいいか、何度も試行錯誤しました。実際に極寒の中で上手く機材が動かない事態も起き、準備した機材が全部凍ってしまうリスクもあるので、凍らないようにどうケーブルを敷けばいいのかなど、さまざまな方法を検討しました。今振り返っても、かなりチャレンジングなライブでしたね。
企画から準備、実際の撮影に至るまで、各セクションの専門家たちがそれぞれの知識や技術を駆使しながら、共通の目標に向かって進んでいく。その全体を見て、それぞれのセクションがスムーズに進むように工夫をしていくのが私の役割だと感じます。

Tokimeki moment
関わった全員が報われる瞬間
ここ数年担当ているアニメ声優ライブは、本当に規模が大きく、映像の収録から音声や配信まで担当しているので、私にとっても今まで経験したことのない規模感でした。
カメラの台数だけでも、普段だったら10数台から20台いかないくらいですが、35台以上使いました。スタッフも150人くらいいたでしょうか。彼らに指示を出してまとめなければいけないので、肉体的よりも精神的にきつかったです。全部を背負う立場なので、いろいろなセクションと向き合うなかでは相当なプレッシャーも感じました。
こういった大きな案件はみんなで乗り越えるものだからこそ、何よりも大切にしているのが、エンドロールにみんなの名前を載せることです。大きいものを作る時ほどその気持ちは強くなるのですが、尺の問題でどうしても載せられない人も出てきてしまう。チーフの名前しか載せられない、みたいなことも多々あって、そういう時は本当に悔しい思いをしてきました。
だから今はみんなが報われるよう、エンドロールにすべてのスタッフの名前を載せるように働きかけたりしています。名前を載せるために交渉したりもするんですよ。極力みんなの名前を載せてあげたくて、いつもエンドロール案を2つか3つ出して、少しでも長く表示してもらえるようにかけあったりしています。
全員の名前を載せることができた時は、本当に感慨深い気持ちになりますね。大変なこともあったけど、全部報われたような気持ちになる。同時に、そこまで心を込めて向き合っていたんだという実感が湧く瞬間でもあります。
自分の名前が出るのも嬉しいですが、今は一緒にやってきたみんなの名前が載ることの方が嬉しい。fmtの仲間とその達成感を分かち合える瞬間こそが、この仕事の一番のやりがいですね。

未来に向けて
培った経験を活かして、新たな挑戦へ
30年近くテレビ業界で仕事をしてきて、もちろん今でもやれること、やるべきことはありますが、正直「もうやり尽くしたな」と思うこともあるんです。別にテレビに固執する必要はなくて、この先もう少し頑張るとしたら何があるだろうかと今まさに模索している最中です。
でも、テレビで培ってきた経験があるからこそ、さまざまな表現の仕方や新しい可能性があるんじゃないかと思っています。テレビだけに限らず、自分にしかできないことを活かして、視聴者にとって「今まで見たことない。見てみたい。」という要求を掻き立てるコンテンツを、作り続けられればいいなと思います。

